相談役/国際委員会特別委員長
ジャック・サンダレスク
(Jacques Sandulescu) |
大山倍達が北米巡業中に対戦した数々の相手の中で、唯一ジャック・サンダレスクだけが、実際にこの偉大な空手家の弟子となった。
第2次世界大戦中、当時16歳だったジャック少年はロシア人に捕らえられ、ドンバスという炭鉱所で強制労働の日々を過ごすこととなった。ある日、事故が原因で生き埋めになったジャックは5時間後奇跡的に救出されるも、両足がひどく潰れてしまった。彼は収容された病院で医者が彼の両足を切断する計画であることを偶然知り、その日の夜シーツで足を包み、ドイツに向けて必死の逃亡を断行した。逃亡に成功したジャックは大戦後アメリカに渡り、その風貌から映画界に入り、マフィア役を務める事もあった。
大山倍達と出遭ったのは、それから何年か後のことである。
ある日、身長195cm、体重190s近い巨人ジャックは、大山が手刀でレンガを割るのを見て、「ワッハッハッハッ、君は空手六段か。もしワシが2枚割ったら何段くれるかね?」と言って、実際に2枚のレンガを粉々に割ってみせた。しかし道場での戦いで、ジャックは大山に叩きのめされ、彼は大山の忠実な弟子となった。その後、長きに渡りよき友人として極真を支えて来た。
1970年代初頭からは、同じ大山の弟子である盧山初雄と親交を深め、その盧山が大山の追及した武道空手を正当に受け継ぐべく発足した今日の極真空手道連盟極真館に深い理解を示し、この度、極真館の国際相談役として就任する。
訃報
2010年11月19日、多臓器不全のため82歳で永眠されました。
永い間、最後の最後まで極真を陰で支えて下さったジャック師範のご冥福を心よりお祈り申し上げます。 |